仁木作品蒐集茨の道

横

丁の名探偵

　最近更新してます。状況が大きく変わっている可能性があります。　仁木作品を読もうという場合、そこには茨の道が待ち受けています。それを段階別にご紹介いたします。第１段階　仁木作品を読みたいという場合は、まずは文庫を揃えるのが早道です。文庫本としては以下の物があります。 ●講談社文庫猫は知っていた、粘土の犬、林の中の家、穴、冷えきった街、二つの陰画、赤と白の賭け、灯らない窓、緋の記憶、赤い猫、陽の翳る街、青い風景画 ●角川文庫凶運の手紙、夢魔の爪、みずほ荘殺人事件、暗い日曜日、死の花の咲く家、青じろい季節、殺人配線図、枯葉色の街で、刺のある樹、黒いリボン、夏の終る日、銅の魚、一匹や二匹 ●光文社文庫聖い夜の中で ●ケイブンシャ文庫石段の家　『猫は知っていた』、『黒いリボン』を除けば、新刊の書店では手に入らないので、古本屋を回るしかありません。１００円均一、定価の半額など安価な場合もあれば、一冊１０００円程度する場合もあります。いずれにしてもある程度時間さえかければ、全部入手するのもさほど困難ではないと思います。これでほとんどの仁木作品は読むことができます。『石段の家』の収録作は全て他の文庫で読めるので、この段階では必ずしも揃える必要はありません。第２段階　文庫本が一通り揃うと、次は文庫本に収録されていない作品が読みたくなります。小説に限定してもこれが結構あります。 ○横丁の名探偵 ○月夜の時計　上記２作は文庫未収録ではありますが、それぞれ『仁木兄妹の探偵簿兄の巻』、『仁木兄妹の探偵簿妹の巻』で容易に入手できます。 ○水曜日のクルト　大井三重子名義の童話集。入手困難です。このなかの一遍「めもあある美術館」はかつて小学校の国語の教科書に載っていたため、ご存知の方も多いようです。 ○消えたおじさん　唯一の少年少女向け長編ミステリー。入手困難です。 ○一本のマッチを擦る時　講談社ハードカバー『穴』には収録されていたのですが、文庫化時に省略されました。ハードカバーは入手困難です。 ○明日天気に　「宝石」１９６３年６月号に載っただけで、単行本未収録のようです。 ○盗まれたひな祭り　「高２コース」１９６７年３月号に載っただけで、単行本未収録のようです。この類の雑誌は古本屋に出回ることが滅多にありません。 ○灰色の手帳、タワーの下のこどもたち　『別冊幻影城・仁木悦子』の評論「血ぬれた童話」（羽田和政）で言及されていますが、発表誌すら不明です。第３段階　更に進むと今度は文庫以外の単行本が欲しくなってきます。こちらもかなり厄介です。一番入手が難しいのは何といっても大日本雄弁会講談社版の『猫は知っていた』です（特に初版。）。当時は乱歩賞受賞といっても一体どれだけ売れるかわからないため、発行部数がかなり少く、入手困難にいっそう拍車をかけています。　強いて言えば、自作解説が載っている立風書房の全集や自選傑作短編集は押さえておきたいところです。第４段階　小説以外でエッセイ等も多数ありまして、多くは単行本未収録です。一部が『猫と車イス』に引用されている「あおい壁」とかは是非読んでみたいものです。その他、仁木悦子編集という本も何冊か。　さあ、あなたは今どの段階ですか？ 1997.11.11 　「あおい壁」は出版芸術社の仁木兄妹長篇全集に収録されました。 1999.11.19追記