横丁の名探偵

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番組名　　たくろうの気ままな世界
放送局　　ＴＢＳラジオ
放送日時　１９７３年１月２７日２１：３０〜２２：００

拓郎＿拓郎の気ままな世界その１６。ぼくたちは懺悔します。

北原ミレイ「懺悔の値打ちもない」

拓郎えー、たくろうの気ままな世界、今日は気ままには行けそうにないですね。えー、最初っから懺悔の値打ちもないと来ましたが、こんばんは、小室さん。
小室＿こんばんは。
拓郎えー、きついですね、今日は。
小室北原ミレイさんですね。
拓郎そうです、懺悔の値打ちもないというね、
小室ははー。
拓郎しかしぼくたちは今日懺悔しなければいけませんね。
小室そうです。
拓郎えー、まずちょっとこの台本を読んでみたいんですけどもね、えー世の中には何かヒントがあるとそこから新しいものが生まれるというようなことがたくさんあります。例えば　ここがおかしいですね、例えばニュートンがりんごの落ちるのを見て万有引力の法則を考え出したように。
小室括弧んなっているよ、これ。
拓郎しかしこれもやっぱあれですかね、例えが非常になんかおかしいですね、ニュートンが出てきましたけどもね、えー、そういうわけでですね、われわれもこれまでにいろいろ曲を作ってきたわけでありますが、えーその中の何曲かはですね、ひょっとすると、おー、どっかからヒントを得てもらってきた曲が若干あるんではないかとこういう気がするわけですね、それでまあ、あー、そういう風に言うと聞こえるですけれどもはっきりまあ少し盗作まがいの感じがしないでもないという感じもするわけですけれどもそこで今日はえーざっくばらんにもうこういうことをやるとわれわれは非常にもうミュージシャンとしてぐしゃーっという感じですけどもね。しかしまああのいいでしょう。
小室気が重いねだけど。
拓郎気が重いですね、今日は３０分。しかしまあ気ままにやりましょう。えーみんなのやってることでだから。
二人はははは。
拓郎どうせ、どうせみんなも同じだよ。えーそこで今日はざっくばらんにですね、もうそれを紹介してしまおうと、そして懺悔してしまおうと。
小室なるほど。
拓郎すみませんでした、ボブ・ディランさん、こんな感じでね行ってしまおうというわけですね。えー、それではまず小室さんからですね、ほんとに気の毒ですね。
小室ぼくたちのねまあ何曲かはと言ったが、ぼくなんかはなんか全曲はというふうに言わなくてはいけないんじゃないかという雰囲気も出てきますけどね。
拓郎そうなってくるともうね、グランプリなんか返してもらいたいというそんな話になってきますからね。あまりだから今日はあまり喋らないで行きたいですね、どっちかというと。
小室賞金返せなんて。
拓郎だからあまり喋ると余計なことまで言いそうな気がするし、えーまず。
小室うん。
拓郎ははははは今日はなんとなく表情が硬いですね。
小室おどおど。
拓郎おどおどしてますけどもね。
小室まずね、この曲を聴いてもらいたいんですよ。
拓郎なるほど。
小室ちょっとかけてみてみましょうね。

ビートルズ「レット・イット・ビー」

拓郎しかしこれはビートルズのレット・イット・ビーじゃないですか。
小室そうです。
拓郎すごい名曲ですね。
小室名曲ですね、いい曲ですね。
拓郎すばらしい曲ですね。どうしたんでしょう、これを。
小室これがですね。
二人はははははは。
拓郎つらいとこですね、これが。
小室これがですね、えー、ぼくがですね、あのちょうどこの曲が出てまだあの市場、日本の市場に出てない時に。
拓郎なるほど。
小室ぼくは東芝からですねシングルのテスト盤をもらってきました。
拓郎なるほど
小室でその日はぼくは芝居の音楽を間に合わせなければいけないという締め切りに迫られた日です。帰って来まして、しかしビートルズの新曲だからこれ聴いてからやろうということで聴きました。
拓郎なるほど
小室で、聴いてから飯を食いました。
拓郎ほー。
小室ですから１回しか聴いてませんからほとんど忘れましたが。
拓郎はははは
小室しかしながらなんかさっきみたいな曲いいんじゃないかということでやおらピアノに立ち向かいましてですね弾きましたね。でだいたこんな感じかなと思ってですね、で、でもちょっと違う見たいだから、じゃ、いいや、これ作ろうという感じでやりましたね。あとで作ったのを聴いたらまったくほぼ同じですね。
拓郎はー。
小室これはね六文銭が歌ってましてね例のメモリアルというライブの中に入ってますけどわかりますか、何の曲だか。
拓郎まあだいたいぼくは。
小室想像つきますね。聴いてみましょうか。
拓郎聴きますか。
小室へのへのもへじの赤ちゃんというのがあるんです。
拓郎しかしこれはあのあれですか。あの自分であとで聴いてみて気がついたんですか？
小室いやいや初めからそんなふうに。
拓郎ははははは、そこが問題なのです。問題はそこなんですよ。あとで偶然か気がついたら偶然かそうじゃなくて最初からそうなのか。
小室最初っからですね。
拓郎最初っからですか。
小室まあいいじゃないですか。
拓郎そうですか。えーかなり懺悔しておりますけどね、小室さんがビートルズのレット・イット・ビーを少しいただいたという感じのへのへのもへじの赤ちゃん

六文銭「へのへのもへじの赤ちゃん」

拓郎えー、へのへのもへじの赤ちゃんですね、えーピアノがギターにかわっただけという感じの、感じですけどもね。で、突然、へのへの♪　なんかだらーっだらけますけどもね。ビートルズが聴いたら泣くでしょうという感じがしますけどね、どうですか？
小室いや、もうなんにも言いたくないよ。
拓郎なるほどね、しかし素晴らしい番組を作ったものですね。はい。

コマーシャル

拓郎というわけでえー小室さんがビートルズの曲を聞きながらこの曲はいいなあと思いながら作った曲ですね、あのへのへのもへじの赤ちゃん。
小室あくまでも思ったんだよ。
拓郎いい曲だなと思いながらつくったんですね。
二人ははははは。
拓郎真っ白ですけどもね
拓郎えーさて次なる罪びと、罪人をおー、
小室罪人を紹介するという言い方はないだろ。
拓郎ねーまあどういうまーともかく次なる方ですが南こうせつ君ですね。
小室これがねー出頭しないんだよ。
拓郎彼はさすがに老獪で。
小室老獪で。
拓郎はははは。
小室さすがに老獪ですが。
拓郎えーここへ来ないというね。
小室さすがにもうしっかりしてますね。
拓郎しっかりしてますけどもね。多くを語りたくないと、語る必要もない、なんだ馬鹿野郎と、こういう感じでね。おまえら二人で馬鹿、馬鹿なことをするな、こんな感じですけどもね。
小室ほんとうは九州にいるんですね。
拓郎そうですね、ほんとうは九州にいまして船も飛行機も出ないとそれで来れなかったんですね。でまあともかく南こうせつ君がいいなあと思った曲ですね。その曲を聴きながらある曲をつくったんですね。
小室ちがいます。
拓郎その曲を聞いた後で、その曲はよかったなあと思いながら、
小室思いながら、
拓郎作った。難しい言い方ですね。まずそのいいなあと思った曲の方、南こうせつがいいなあと思った曲、峠のわがや。

「峠のわがや」

拓郎大変心の和む、
小室なんかね、やっぱこうせつらしいというかね。
拓郎こうせつらしいねほんとに。
小室しかしね彼がこれをね懺悔する気になった気持ちがわかったよ。
拓郎どういう。
小室つまりこれはさあのアメリカのトラディショナルな民謡なわけだよ。
拓郎なるほど。
小室でだからね。これは真似していいわけだよ。
拓郎あー、
小室なんの権利もないんだもん。
拓郎あーそうか、なーるほどね
小室だから俺たちはどうも口ごもるけども。
拓郎彼の場合は堂々と。
小室だからここの場合だけはね思って作ったとか言わなくていいわけだよ。
拓郎ああそうか。
小室これは明らかにこれをね。
拓郎盗作しました。
小室盗作しました。
拓郎わはははははは。
小室はっきり言える。
拓郎はっきり言えるの。なるほど。
小室それでつまりこれで何を作ったかということだけどね。
拓郎そうなんですね。これが全然信じられない、田中君じゃないか。
二人わはははは。
拓郎こうせつも何を考えたんだか知りませんけど。
小室だけどねこの曲を聴いて田中君じゃないかって言われてもまだ似ているとは思えないよ。
拓郎タイトルだけはね。
小室いやそれでなんとなく曲を思い浮かべても似ているとは思えないんだまだ。とにかく聴いて、
拓郎聴いてみましょうか。こうせつが峠のわがやからはっきり盗作しました。はっきりと盗みました。田中君じゃないか

南こうせつとかぐや姫「田中君じゃないか」

拓郎田中君じゃないかですね。峠のわがやを小室さん歌ってください。
二人たーたーたたたー♪
小室あ？
拓郎ぼくのほうが田中君じゃないかですよ。そっちは峠のわがや。せーの、たーたー♪
小室しかしぼく３拍子と４拍子ですよこれ。
拓郎ああそうですね。
小室これ一緒に歌えないですね。
拓郎はははそうですね。そういった問題もありましたけれどもね。しかし。
小室似てるよやっぱり。
拓郎似てますね。似てるというかコード進行は同じだったですね、サビに行く所までは。サビ先なんかとってつけたって感じでね、やってましたが南こうせつの見事なる盗作でした。
拓郎えーしかしこんどはぼくに行くわけですけれどもね。この盗作という言い方はちょっとまあちょっときついですね、言い方が。
小室ははははは。
拓郎はっきり言ってぼくはその盗作といういいかたはあんまり好きじゃないし盗作だとはぼくは思ってないんですよ。なぜならぼくのつくる曲の中では非常にぼくの曲の中では代表曲とされている曲ですもんね。
小室ははー。
拓郎ぼくの曲の中では。
小室じゃあ言えないですね、思ってても。
拓郎ちょっと待ってちょっと待ってきついな言い方が。そういうんじゃなくてね、なんかそのボブ・ディランの曲を聴くでしょ。そうするとねなんていい曲だと思うわけ。そうした時に、あ、あんな曲を作りたいなあと思う、すごい一心に。そうするとどうしても似てくるっつうね。
小室やっぱり盗作だよ、ははははは。
拓郎盗作かね、これは。やっぱりこれを盗作と呼ぶか。
小室やっぱり。
拓郎あーあのね、イメージの詩というのがあるでしょ、ぼくのあれもね、そういうふうにいくと盗作になるんですよ。つまりあれはね、ボブ・ディランのイメージの詩というのがあってね、えーと廃墟の町っというのがあってね、Desolation Row、あの雰囲気が非常に好きでね、あれはね編成を盗んだんですね。ベースとエレキベースと生ギターと生ギターっていうね。
小室あれもいい歌。
拓郎ああいった編成をちょっと盗んでね、であれはいいなあと思ってハーモニカを入れてほんでね、なんか雰囲気が似ているわけね、コード進行なんかは違いますけどね、でもね、ちょっと雰囲気が似ているんですけどもね、それでねボブ・ディランの曲なんかぼくは特によく聴くわけでしょ。そうするとね、なんて素晴らしいんだろうと思うとね、もうなんかそんな感じの曲作りたいなという気が一心になってね。
小室ただはっきりいってね、ぼくはね曲作る時にはね、ほとんどまあ５０％以上ね、あんな曲を作ろうとやっぱ思い浮かべて作りますよ。
拓郎やっぱりね。
小室はっきり言って。
拓郎はっきり言ってね。
小室たださあ２、３小節出ちゃうと違くなって行っちゃうんだよね。
拓郎それでね、時々メロディー作っていてありゃあこりゃあれと同じになっちゃったと思ったりして。
小室やめてみたり。
拓郎やめてみたりすることもありますけど。
小室はっきり言っちゃうけどね。
拓郎ははは、でもねえ、巷に流れている曲でもね ぼくらだけでもなくてもね、こういう風に行くとね、懺悔しなくちゃいかん人もいっぱいいるみたいよ、はっきり言ってね、これは。
小室人のこというなよ、おまえ、おまえどうしたの。
拓郎それにしてもあのいっぱいあると思うな、やっぱり。みんなやっていると思うよ。
小室愚痴ばかり言って。
拓郎愚痴をあれする値打ちもないですけどもね。しかしあのやな、やな日ですね、今日はね、なんたって。
小室すごく滅入りますね。
拓郎でもこれはね、これにめげず、これにめげずわれわれはやっぱり生きていかなきゃね、明日の日本はよくなりませんよね、だからほんとに。
小室とにかくかけてみなよ。
拓郎いやあちょっとぼくは自分の所へ行くのが怖くて怖くてなるべく避けようとしてね、早く時間が来ないかなという感じですけどもね。えー、ボブ・ディランなんですね。まずボブ・ディランのぼくがいいなあと思った曲なんですね。メンフィス・ブルース・アゲイン。

ボブ・ディラン「メンフィス・ブルース・アゲイン」

拓郎えーボブ・ディランのメンフィス・ブルース・アゲインというね、これはもう（たっくん注　聞き取り不可）しかない曲なんですけどもね。
小室いい曲ですね
拓郎素晴らしい曲です。でぼくはね、この曲はなんていいんだろうと思ってね、うちで何回も聴いたんですね、素晴らしいと。はー。こんな曲ぼくも作ってみたいなあと思っているうちにね、たまたまね、詞があったんですよ、ある女の子が書いた詞が。そしてねそれをなんとなくその詞を読みながらね、そのボブ・ディランの曲を聴いているとね、詞がぴったり合うんです。これは詞にも問題がありますね。
二人ははははは。
拓郎偶然あった詞が悪い。
小室詩人がいけない。
拓郎詩人がいけない。
拓郎それでね、もう合っちゃったからね、これはもう合ったものはしょうがないじゃないかといろいろね、だってそれはやっぱり最初に作った段階でね、作品というのはその段階で評価すべきものとぼくは思ってますからね、だから合ったものはこれは今さらとやかく言ってもしょうがないじゃないか、だからこれはもうレコードにしてしまえとこんな感じでやってしまったんですね。
小室前置きが長いな。
拓郎でもあの似てますね。
二人ははははは。
拓郎松田さん（たっくん注　違うかも。）から嬉しそうな顔してもらったんですけどね、辛いですけどもね、でもほんと似てますは、こりゃ。こりゃいかんは。こりゃいかん。こりゃいかんけどもね、しかしボブ・ディランに勝るとも劣らないね曲になりましたよ、ぼくも。
小室ああそうですか、はあはあ。
拓郎ボブ・ディランのは結構長いですね、ぼくのは非常に手ごろにまとまってます。
小室似てないわけだ、長さは。
拓郎長さは似てないよ。あのねなにが似ているかというとね、まずコード進行も少し似てるんですけど、それでも違うんですけどね、まず似ているのは歌い方、あの突き放す所、アレディー　ジャジュー　ホジャー　アジュガー　ジャジュー　ホジャー♪　そんだけ言ったらすぐ分かるな、春だったね。

よしだたくろう「春だったね」

拓郎そんな似てないね。
二人はははは。
拓郎でも。
小室今日は終始なんか笑いで誤魔化しているという。
拓郎しかしねえ、こういう番組をやるというのは辛いですよ。
小室辛いですね。
拓郎でもね、おのおのの曲がいいからね救われたようなもののね、へのへのもへじの赤ちゃんにしてもね、田中君じゃないか、春だったね、全部曲がよかったからね、
小室傑作
拓郎素晴らしいみんないい曲だったからね、だから救われたようなもののね、これがやばい曲だったらほんと辛かったね。でもぼくは胸を張って歩いて行きたいな、明日からの道を。
小室真っ直ぐ歩いて行こうか。
拓郎明日からの道をやっぱりぼくは希望へ向かって歩いて行きたいな。でもボブ・ディランはやっぱりいいね。
小室ボブ・ディランはいい。
拓郎そういったとこなんですね、ぼくにとって。やっぱボブ・ディランはいいやと。だから真似したいなという気は。
小室はっきり言って。
拓郎まあ真似しましたね。
小室はははは。
拓郎言っちゃえば。でもねえ、こういったことはよくあるとおもうんですよ。例えばこれはあの今の場合だったら、ぼくの場合コード進行を真似るとかいうのはぼくらだけじゃなくていっぱいいろんな人がいっぱいやってるし、例えばブルースの曲なんかだったらね、あのあるでしょ、例えばあの曲、題名を言っちゃいかんだろうけどいろんな人が作ってるなんとかなんとかブルースとかそんなのはほとんどね、向こうのブルースと同じでしょ、結局歌詞が日本語になっているだけのことであって。
小室それから向こうの歌そのものだってさ、もうそっくりなのがあるじゃない。ああなんだ、あのサイモン＆ガーファンクルのさ家へ帰ろうなんていうあのコード進行とあのメロディーなんかはしょっちゅうあるじゃない。
拓郎ああいったのはよくでてきますね。それでよく出てくるコード進行とかさ あの流行りがあるじゃない。であのぼくらだけじゃなくて歌謡曲とかそういったね、まあそういう言い方もおかしいけどともかくいろいろ歌を歌っているいろんな曲作っている人もわりとやっぱり一小節だけあれ似ているなってあの曲と同じじゃないかと思ったりすることありますからね。でそういった意味では同じですよね。
小室なんだよ。
拓郎そういう言い方はちょっとおかしいですけどね。
小室ただ今日ねこの番組の成り立ちでさ、それいうといえばいうほど 言い訳になってくるからさ、だから笑うことしかできないというかね。この政治家っていうのがね、あの高笑いをするでしょ、あの気持ちがすごくよくわかった。
拓郎じゃあ今日は笑って終りにしよう。
二人わははははは。

コマーシャル

拓郎小室さん、今日は疲れましたね。
小室なんかもうすごくね。
拓郎まっ、これはこれでよかったじゃない。
小室そうそうそう。
拓郎我々も悪いことやったんだから。明日からは清く正しく。
二人はははは。
拓郎えーさて、来週は子守唄をうたいます。古くからある子守唄そして僕たちがこれからつくるという子守唄ですね。そんな子守唄に挑戦してみたいと思います。ご期待ください。小室さんも作ります。
小室はい。
拓郎新しい子守唄にも挑戦してみようと。そういう感じですね。拓郎の気ままな世界、富士重工さんの提供でした。それではまた来週。

拓郎：吉田拓郎、小室：小室等