横

丁の名探偵

トップ　＞　著者の部屋索引　＞　ジョン・ディクスン・カーの部屋　＞　カー作品蒐集茨の道

クイーンやクリスティーの本がほぼ全作品を容易に入手できるのに対 し、カーといえば絶版が多く、ファンを泣かせてきました。ここ数年、 国書刊行会から『一角獣殺人事件』や『死が二人をわかつまで』が出版 されたり、ポケミスの『震えない男』が復刊されたりと、状況は好転し てきてはいますが、まだまだ一部の本は入手困難です。 　全異本を集める場合は『魔棺殺人事件』なども対象となるため、困難 度は極めて高いですが、単に訳は関係なく読めればよいという場合でも、 道は険しいです。 ○恐怖は同じ（ポケミス） 　かつてポケミスの中では『ハムレット復讐せよ！』の古書価が一番高 いとされていました。しかし古書価が高いということはそれなりに大切 に扱われているわけで、財布に余裕さえあれば比較的入手は容易だった と思います。一方、『恐怖は同じ』は古書価も高いが、入手困難度も格 別。カーの中では評判の悪い歴史物だけに、復刊しても一部のマニアを 除いては売り上げもほとんど期待できないので、ベストコレクションも 望み薄。 　たっくんがカー作品で唯一持っていないという理由からだけではなく、 今や全ポケミス中で最も入手困難なのではないかと思います。 ○殺人者と恐喝者（創元推理文庫）、この眼で見たんだ（別冊宝石） 　ポケミスはベストコレクションがあるのに対し、創元推理文庫の場合、 一度絶版になると復刊されることが極めて少ないため、入手困難です。 『殺人者と恐喝者』に関しても、別訳で『この眼で見たんだ』があるに も関わらず、両者とも難易度が高いです。同じ別冊宝石でも、以下の２ 作はときどき見かけるのですが。 ○かくして殺人へ、九人と死人で十人だ 　この２作品はいずれも別冊宝石だけでしか読むことができません。百 貨店の古書市では時々見かけますので、ある程度入手の可能性は高いと 思います。『九人と死人で十人だ』はそのトリックがあまりに有名なの で、読んでみたいという人が多いことでしょう。 　上記以外については、特に茨の道ということはないと思います。 1997.11.11 　今月『恐怖は同じ』が復刊されました。従いまして、今や『恐怖は同 じ』がもっとも入手しやすいカー本ということになりました。(笑) 1998.10.15